時間を計算してみると、本当に……ちょうど24時間だった。
安藤秘書の言葉が、また一つ的中した。
園田円香は無意識に下唇を噛み、深い歯形をつけたが、痛みは感じなかった。
男の低い声が耳元で響いた。「円香?」
彼女がずっと黙っていたせいか、江口侑樹は彼女の名前を軽く呼んだ。
園田円香は我に返り、密かに深呼吸をして、頭の中の雑多な思考を一時的に抑え込み、自然な口調で話し始めた。「あぁ……今夜帰ってくる?って聞きたかっただけ」
「帰るよ」江口侑樹は躊躇なく答えた。「あと10分で家に着く」
この返事は、園田円香の予想外だった。
もし江口侑樹が本当に彼女を裏切るようなことをしたのなら、普通なら多少なりとも後ろめたさを感じ、無意識に避けるはずだ。
なのに彼は、まるで何も起こらなかったかのように、そのまま帰宅する?
もしかして、昨夜の3回の不在着信と、24時間の失踪は、彼女が考えていたようなことではないのかもしれない?
そう考えると、園田円香の胸の痛みが少し和らいだ。
唇の端がかすかに上がり、彼女は応えた。「うん、じゃあまた後で」
電話を切った後、園田円香は寝室で落ち着かず、立ち上がって部屋を出て、階下に降り、別荘を出て、玄関で待つことにした。
すぐに黒い車が入ってきて、玄関前の芝生の前に停まり、運転席のドアが開いて、男の長身が車から降りてきた。
園田円香は歩み寄った。
彼女が出てきたのを見て、江口侑樹は軽く眉を上げ、優しく彼女を見つめた。「どうして出てきたの?」
園田円香は黒い瞳を彼の端正な顔に向け、十数秒見つめ合った。彼の目に後ろめたさや逃げるような様子は見られなかった。そこで彼女は笑顔で言った。「会いたかったの」
彼女の声は甘くて柔らかく、江口侑樹の喉仏が上下に動いた。彼は長い腕で彼女の細い腰を抱き寄せ、前に引き寄せると、頭を下げて彼女の鼻先にキスをし、かすれた声で言った。「僕も会いたかった」
言い終わると、彼の唇が下へと移ろうとしたが、園田円香は両手で彼の胸を軽く押し、わざと嫌がるように言った。「人前で、いけないことしちゃダメ!」
江口侑樹は軽く笑い、素直にそれ以上はしなかった。
彼は彼女を抱きながら、中へと歩いていった。