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病院。
白い制服のワンピースを着て、マスクをした看護師が、小さなカートを押して廊下の向こうから歩いてきて、一つの病室の前で止まった。
入り口には二人の警察官が立っており、彼女を制止した。
看護師は身分証を見せて、「医師から患者の血圧を測るように言われました」と言った。
警察官は確認した後、問題ないと判断して、通してくれた。
看護師はドアを開け、カートを押して中に入り、そっとドアを閉めた。
部屋の中で、林田茜がベッドに横たわっており、片手は手錠でベッドの鉄柵に繋がれていた。
看護師は前に進み、優しく声をかけた。「林田さん、血圧を測らせていただきます。腕を少し上げていただけますか…」
十分後、ドアが再び開いた。
看護師は俯いたまま、カートを押して部屋から出てきて、ドアを閉めた後、二人の警察官に軽く頷き、そして徐々に遠ざかっていった。
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園田円香はこの期間、体調が良くなってから、また通常の出勤を再開した。
毎日ベッドに寝ているだけでは、病気になってしまうこともある。生命は運動にあるのだから。
江口侑樹は時間があれば彼女の送り迎えをしていたが、先日彼女の看病のために多くの仕事を延期したため、今は重要なプロジェクトが山積みで、処理せざるを得なくなっていた。
そのため、この数日間、園田円香は彼に送り迎えをさせず、自分でタクシーを使って通勤していた。
妊娠中なので、自分で運転するのは何か事故が起きるのが心配だった。
ただ最近、体内のホルモンの影響なのか、時々誰かに見られている、あるいは付けられているような感覚があった。
しかし毎回、特に不審な点は見つけられなかった。
彼女は机の上の目覚まし時計を見上げた。あと十分で退勤時間だった。今日は金曜日で、他の同僚たちはすでに我慢できずに、電話で人を誘って食事やカラオケに行き、楽しい週末を過ごそうとしていた。
時間はすぐに過ぎ、みんなが荷物をまとめて帰ろうとしているとき、後藤淑子が突然オフィスから出てきた。
彼女は非常に深刻な表情で、直接口を開いた。「緊急ニュースです。グループに送りました。」
この一言で、現場にいる全員の動きが止まり、みんなの表情も緊張し始め、次々と携帯を取り出して状況を確認した。
園田円香もワークグループを開き、後藤淑子が共有したリンクを見た。