エレベーターがチンと鳴り、ドアが開いた。
園田円香は歩み出て、後藤先生のチームの専用エリアへと向かった。
入り口で、受付の野村丸美は彼女を見て驚き、すぐに近寄ってきて心配そうに尋ねた。「園田キャスター、どうしてここに?お体の具合はいかがですか?」
園田円香は彼女を見上げ、微笑んで答えた。「ご心配ありがとう。だいぶ良くなりました。」
この数日間、彼女は多くの同僚からお見舞いを受けていた。同じ任務で怪我をしたこともあり、みんなでお金を出し合って果物を届けてくれたのだ。
特に、同じグループの記者とカメラマンは、彼女とはぐれてしまったことを非常に後悔していた。WeChatで、もし離ればなれにならなければ、林田茜に簡単に捕まることもなかっただろうと謝罪していた。
温かく、人情味のある対応だった。
「そうそう、後藤先生はいらっしゃいますか?」園田円香は尋ねた。
野村丸美は答えた。「はい、いらっしゃいます。」
園田円香は頷き、そのまま後藤淑子のオフィスへ向かった。
ドアの前で、髪と服装を少し整えてから、手を上げてノックをした。
「どうぞ」という声を聞いてから、ドアを開けて中に入った。
後藤淑子は園田円香を見て驚き、すぐに椅子から立ち上がり、デスクを回って彼女の方へ歩み寄った。「円香さん、お体の具合はどうですか?」
「だいぶ良くなりました。後藤先生、ご心配いただき、ありがとうございます。」
後藤淑子は園田円香の手を取り、ソファーに座らせ、彼女の顔色を注意深く観察した。まだ少し病的な様子が残っているのを見て、申し訳なさそうな表情を浮かべた。「円香さん、申し訳ありません。今回のケガは、私にも責任があります。」
あの時、彼女を指名して任務に出したことが、このような苦しみを味わわせることになってしまった。
園田円香は首を振った。「後藤先生、先生には何の責任もありません。自責なさらないでください。」
今回でなくても、林田茜は必ず次の機会を作り出したはずだ。
これは彼女と林田茜、そして安藤吉実との間の恨みであり、他人は関係ない。
もちろん、このことは後藤先生には言えなかった。
彼女は軽く唇を噛み、話題を変えた。「後藤先生、今日お伺いしたのは、ご相談したいことがあってです。」