第310章 私の息子だ！

みんなの非難に、江口侑樹は子供の泣き声がさらに激しくなるのを見た。

泣きながら、おじいちゃんおばあちゃんたちに向かって、すすり泣きながら説明した。「おじいちゃん、おばあちゃん、パパはいい人なの。パパは私を捨てたりしないの」

彼は唇が赤く歯が白く、陶器の人形のように繊細な顔立ちをしていて、もともと人々の好感を買いやすかった。この可哀想な様子は、おじいちゃんおばあちゃんたちの同情をさらに誘った。

そのため、彼らの戦闘力はさらに強くなった。

一人のおばあさんが前に出て、江口侑樹を指差して怒鳴った。「子供を捨てようとしているのに、子供はまだあなたをかばっている。こんな薄情な父親見たことないわ！」

「姉妹たち、この人の写真を撮りましょう。このクズ父親を晒し者にしましょう！」

江口侑樹は眉間にしわを寄せ、こめかみが痛んだ。

ビジネスの世界での千軍万馬や、がっしりした男たちに対しても恐れを知らない彼だが、このうるさいおばさんたちに対しては、殴るわけにもいかず、叱るわけにもいかず、冷たい表情を見せても相手にされない！

彼のハンサムな顔が曇り、目に冷たい色が浮かんだ。

まだわんわん泣いている子供をちらりと見たが、大声で泣いているものの、その目には少しも悲しみの色がなかった。

わざとやっているんだな。

彼は子供が嫌いだ。特に泣いている子供が嫌いだ。彼の忍耐は既に限界に達していた。

江口侑樹は手を伸ばし、子供の襟首をつかんで、投げ出そうとした。

千載一遇のその時、安藤秘書が群衆を掻き分けて入ってきた。

社長の表情を見て、さらに社長の動作を見た彼は、心臓が飛び出しそうになり、急いで取り繕った。「あ、あの、坊ちゃまは冗談が好きなだけで、こんなに可愛い坊ちゃまを江川社長が捨てるわけがないですよ、ハハハ！」

江口侑樹の動きが止まり、まぶたを上げて彼を見た。その目は冷たく、明らかに彼の言葉に極度の不満を示していた。

どうして突然息子ができたんだ？

勝手に認めろと？

それにこの子供のどこが可愛いんだ？

当たり屋みたいなことをして、頭痛の種になっているだけじゃないか！

安藤秘書は当然社長の目が何を意味しているか分かっていたが、どうしようもなかった。