第325章 結婚式の招待状

彼女は足を止め、横目で彼女を見た。「どうした？私と個人的に勝負するつもり？」

それなら本当に楽しみだわ。今度こそ彼女の髪の毛を全部引っこ抜いてやる！

しかし安藤吉実は、彼女特有の偽善的な笑みを浮かべ、一歩一歩染野早紀に近づいて、口を開いた。「もちろんそうじゃないわ。私は…」

わざと間を置いてから、続けた。「招待状を持ってきたの！」

安藤吉実は助手を見やり、助手は急いで招待状を安藤吉実に渡し、安藤吉実はそれを染野早紀に差し出した。「私と侑樹の結婚式は来月一日よ。当日は、早めに来てね！」

染野早紀は目を伏せ、その招待状を見つめた。

豪華絢爛なデザインで、表紙には金箔が施されていた。

胸の中で抑えきれない怒りが燃え上がった。彼女の目が沈んだ。彼女の円香が結婚した時は、何もなかったのに。

今、彼女は自分の前で自慢げにしている。

染野早紀は怒りを笑みに変え、手を上げて招待状を受け取った。

そして、安藤吉実に微笑みかけ、次の瞬間、その招待状を容赦なく引き裂いて、彼女の顔に投げつけた。

安藤吉実はそんな行動を予想していなかったため、呆然とした。

染野早紀は冷笑いながら言った。「不倫相手が正妻になったぐらいで、恥を晒すのはやめなさい。あなたと浮気男の結婚式には呼ばないで。でもあなたの葬式なら、出席を考えてあげるわ！」

「あなた…」

安藤吉実は彼女を怒らせようとしたのに、まさか直接手を出されて言い返されるとは思わず、目が赤くなるほど腹を立てた。

江口侑樹が結婚式の件を発表して以来、誰もが彼女に対して恭しく、誰も彼女を怒らせようとしなかった。ただ染野早紀だけが空気が読めない！

安藤吉実は拳を強く握りしめ、必死に自制しようとした。

今は彼女が反撃できる時よりもマシ。もう少しの我慢、江口侑樹と結婚して本当の江川夫人になるまでの我慢。そうすれば、染野早紀など足元にも及ばなくなる！

安藤吉実は無理に笑顔を保ったまま、何も言わずに立ち去った。

助手は染野早紀に軽く頭を下げ、後に続いた。

染野早紀はその場に立ち尽くし、深く息を吸い込んで、やっと人を殺したい衝動を抑えることができた。

表面上は勝ったものの、安藤吉実のこの一件は確かに彼女の胸を悪くさせた。