【これから江川おばあさんに何かあれば、これらすべてを公にする。今この瞬間から、江川おばあさんの健康と長寿を祈ることをお勧めします!】
送信を終えると、園田円香は携帯からカードを取り出し、折って、ゴミ箱に捨てた。
染野早紀は少し驚いて、「円香、これだけで大丈夫なの?」と尋ねた。
園田円香は頷いた。「これで十分よ。」
染野早紀は眉をひそめた。
その様子を見て、園田円香は微笑んで説明した。「早紀、私が三つのメッセージを一日かけて送った理由は、心理戦のためよ。」
「人は既知の事実に対しては、どんなに怖くても心の準備ができるけど、未知のことこそが際限のない恐怖を生むの!」
「私の手元にはこの二つの証拠しかないのに、全部安藤吉実に送ってしまった。でも、安藤吉実はそうは考えないわ。こんな重要な証拠さえ送れる私の手には、もっと多くの彼女の弱みがあるかもしれないと。それに、私が誰なのかも分からない。だから、彼女は私をもっと警戒し、恐れるようになって、軽はずみな行動は取れなくなるわ。」
「本来なら、安藤吉実が正直な人間なら、これらは彼女を脅かすことはできないはずよ。でも彼女は卑劣な人間で、たくさんの汚いことをしてきた。だから怖がるの。特に明日からは江川夫人になるわけだから、みんなに見られているし、江川家の女主人の座を確実なものにしたいなら、どんなスキャンダルも起こせないわ。」
染野早紀は静かに聞き終えて、心から感心した。
たった三つの短いメッセージなのに、こんなに大きな効果を生み出せるなんて、さすが彼女の円香、間違いなく才能の塊だ。
園田円香は疲れた眉間をさすりながら、「どうあれ、やっと終わったわ。」と言った。
実は彼女は本当に本当に本当にこういうことが嫌いで、選べるなら、智則との平凡で普通の、日々の生活だけを気にかける日々を送りたかった。
その様子を見て、染野早紀は優しく彼女を抱きしめた。「そうね、やっと終わったわ。智則に会いに帰れるわね。」
ここでの約半月の間、何度も園田円香が携帯を手に、園田智則の写真を見つめているのを見かけた。
園田智則は前回彼女が帰らなかった時から怒っていて、電話もかけたがらなかった。染野早紀は分かっていた、園田円香の体はここにいても、心はとっくに帰っていることを。