第355章 江口侑樹は本当に情熱的ね

園田円香の心臓が一瞬ドキリと跳ねた。

江口侑樹がたった今出て行ったばかりなのに、もう戻ってきたの?それとも...急に飲んでいたワイングラスのことを思い出して戻ってきたのかしら?

彼女は目の前のワイングラスを見つめながら、最後まで手を伸ばすのを我慢した。このまま持ち去ったら、きっとこの部屋から出られないし、相手に警戒されてしまう!

足音が近づいてくる前に、園田円香は席に戻り、フォークを手に取って小さなケーキを口に運んだ。

しかし、入ってきたのは江口侑樹ではなく...安藤吉実だった。

園田円香は彼女を見た瞬間、瞳に一瞬の驚きが走ったが、すぐに納得した。

今日、彼女が結婚式を台無しにしていなければ、今頃は安藤吉実と江口侑樹がここで新婚初夜を過ごしていたはずだ。彼女がここにいるのも当然のことだった。

でも、彼女の来るタイミングが本当に邪魔。彼女がここにいては、どうやってワイングラスを持ち出せばいいの?

安藤吉実は園田円香を見て、全身が激しく震えた。まさか彼女と江口侑樹の新居で彼女に会うとは思ってもみなかった!

そして...

テーブルの上のワインが開けられており、二つの使用済みのワイングラス、食べかけのケーキ、さらには園田円香の服の襟元が開いていて、少し乱れているのが見えた...

「あなた...どうしてここにいるの?」

安藤吉実の瞳は冷たさに満ちていた。彼女は言いながら、素早く寝室に向かった。寝室には江口侑樹の姿はなかったが...大きなベッドの上には花びらが散らばり、寝具も乱れていて、誰かが上で転がり回ったのが一目で分かった。

その瞬間、彼女の目は真っ赤になった。

つまり彼女が来る前に、侑樹と園田円香は何をしていたの?まさか...もう寝てしまったの?

もともと園田円香のことを骨の髄まで憎んでいたのに、今日は彼女の結婚式を台無しにし、また話題の的にされ、みんなの笑いものになった。この三年間、必死に挽回し、イメージを改善してきた評判も、再び攻撃を受けることになった。みんなは彼女を不倫相手として再び取り上げ、かつてニュースキャスターをしていた時に不倫を自白した動画を切り取って、様々な表情パックやカットを作ってWeiboで拡散している。