園田円香は瞬きをして、かすれた声で「佐藤先生?」と呼びかけた。
佐藤先生は遠いアメリカにいるはずじゃないの?どうして早紀のアパートにいるの?
男は歩み寄り、優しい表情に隠しきれない心配の色を浮かべて「円香、少しは良くなった?」と尋ねた。
「まだ少しめまいがします」園田円香は正直に答えた。「喉が渇いて、水が飲みたいです」
佐藤先生はベッドの端に座り、手を伸ばして彼女をベッドから起き上がらせ、腰の後ろに枕を当てて快適に寄りかかれるようにしてから、ようやくベッドサイドテーブルからまだ温かい水を取り、彼女の口元に運んだ。
園田円香は本当に喉が渇いていたので、遠慮せずに彼の手から水を飲み、コップ半分以上飲んでから止めた。
水が喉を潤すと、やっと生き返ったような気がした。
彼女は再び目を佐藤先生に向けて言った。「佐藤先生、どうしてここにいるんですか?」
彼を見た瞬間、まだ夢の中にいるのかと思ったくらいだった。
佐藤先生は水の入ったコップをテーブルに戻し、「電話をかけたんだけど、ずっと出なかったから、染野さんに電話をして、高熱を出していると知って、すぐに飛行機のチケットを取って来たんだ」
「もう二日も熱が続いていたんだよ。染野さんが早く気付いてくれなかったら、大変なことになっていたかもしれない」
「ここに残って、やりたいことをするのは反対しないけど、少なくとも自分の体は大切にしないと。自分の体の状態がどういうものか、わかっているでしょう」
最後の一言で、佐藤先生の声色が強まった。
園田円香は自分が悪いと思い、恥ずかしそうに目を伏せた。
三年前に瀕死の状態から救われ、さらに園田智則を産むことにこだわったせいで、彼女の体は実際かなり弱っていた。
この三年間、佐藤先生は慎重に彼女の体調を整えてくれていたので、怒るのも無理はない。
ただ、今回の発熱は本当に予想外のことで、風に当たったわけでもなく、風邪の症状もなかった。
本当に突然高熱が出たのだ。
でも、おそらく原因はわかっていた。この期間のストレスと、あの夜突然多くのことを知ってしまい、様々な情報や圧力が重なって、体が耐えきれなくなって、この大病になってしまったのだ。
園田円香は弱々しく謝った。「ごめんなさい、心配をかけて」