第378章 出手

電話に出た相手に、彼は単刀直入に言った。「今、園田円香と他の男性が一緒にいる写真を持っているんですが、ご入用ですか?」

江川慈善団体、会長室。

安藤吉実は電話の向こうの言葉を聞いて、一瞬驚いた後、「写真を見てから、欲しいかどうか決めます」と答えた。

この田中記者は、彼女が親しくしている記者の一人で、結婚式にも招待されていた。

田中記者もすぐに応じ、WeChat で写真を2枚送ってきた。

安藤吉実は開いて見た。

写真には男女が並んで立っており、女性は顔を上げて男性を見上げ、目を細めて笑っていた。男性は彼女を見下ろし、とても愛おしそうに彼女の頭を撫でていた。

女性は園田円香で、男性は...あの有名な名医、佐藤先生だった。

安藤吉実は知っていた。園田円香と佐藤先生は以前から噂があったが、後に江口侑樹と園田円香の結婚発表でその噂は消えていた。

まさか園田円香が今でも彼と連絡を取り合っているとは...しかも写真を見る限り、かなり親密な様子だった。

この園田円香、本当に男を見る目があるわね。権力と地位のある男性ばかり狙って!

彼女はずっと不思議に思っていた。園田円香は3年前一体どうやって生き延びたのか、そして音信不通だったこの3年間、どこで何をしていたのか。

もしかして当時佐藤先生に助けられ、この3年間ずっと彼と一緒にいたのかしら?

なんてこと!

園田円香によく私のことを不倫相手だとか、江口侑樹に執着していると非難できたものね。

彼女自身だって同じような、いや、もっと最低な人間じゃない!

他の男性と曖昧な関係を持ちながら、江口侑樹との離婚も拒否して、両方をつなぎとめようとして、本当に吐き気がする!

そんな女が今、江川夫人の座を占めているなんて、歯がゆくて仕方がない。本来なら今頃、私が江川夫人になって、堂々と侑樹の隣に立っているはずだったのに!

安藤吉実は少し考え込み、目が輝いた。

園田円香が再び現れてから、私の結婚式を台無しにし、侑樹に即座の離婚を拒否させ、さらには江川グループの株式まで手に入れて第二株主になり、今では江川グループに入社して毎日侑樹の前をうろついている。

彼女に対する怒りは既に限界に達していた!

園田円香が完全に消えてくれれば、私と侑樹の間には何の障害もなくなるはず!