第377章 旧知との再会

園田円香は名刺を持つ手が、微かに震えるのを止められなかった。

彼女は何度も深呼吸をしてから、携帯を取り出し、素早く11桁の番号を入力して、発信ボタンを押した。

耳元でプルルという音が鳴り、彼女の心臓は徐々に緊張してきた。

しばらくして、向こうから応答があった。「もしもし。」

たった一言聞いただけで、園田円香は確信した。本当に彼だ!間違いない、彼に違いない!

園田円香は喉を大きく鳴らして唾を飲み込み、かすれた声で話し始めた。「師匠……ですよね、師匠……」

向こうは一瞬戸惑った様子だったが、すぐに彼女の声に気付いたようで、軽く笑って答えた。「ああ、私だ。」

「円香、久しぶりだな。」

もう二度と聞けないと思っていた懐かしい声に、園田円香の目は瞬く間に赤くなり、思わず手で口を押さえた。

およそ30秒後、やっと心の中の様々な感情を抑え込んで、小さな声で言った。「師匠、もう……二度と会えないと思っていました。」

「今はお元気ですか?あそこから……出られたんですか?」

「出た。」園田円香の感情的な様子に比べ、向こうはずっと落ち着いていた。「今は良好だ。」

「よかった、本当によかった。ずっと心配していました……師匠も出られて、本当によかったです。」

園田円香は目尻からこぼれた涙を拭いながら、「それで、今どちらにいらっしゃるんですか?それに……どうして心理の大家になられたんですか?」

「あそこを出てから、あちこち旅をしていてな。今はアメリカにいる。心理の大家については……これが私の本業なんだ。」

「??」園田円香は完全に困惑した。

彼女と師匠は……あの場所で知り合った。あの場所は、人々が地下世界と呼ぶ、テロ組織に支配された極めて暗黒の場所で、法の支配が及ばず、誘惑と暴力に満ちていた。

そこにいる人々は、基本的に人間性の最も暗い面を露わにしており、本当の意味で悪い人々だった。

一度、ある女性が彼女に助けを求めてきたことがあった。彼女が助けてやると、その女性は彼女に薬を盛って金に換えようとした。

彼女があんな場所に行くことになったのは、あるニュースを追っている時に、悪人に誘い込まれたからだった。入るのは簡単だが、出るのは極めて困難だった。