第387章 告白も遊びなの？

彼女の言葉が耳に入った瞬間、江口侑樹の目は数秒間虚ろになった。

彼は急に一歩後退し、眉をひそめて厳しい声で言った。「園田円香、また何か企んでいるのか？」

この女は、いつも常識外れな行動をする。

園田円香は少し傷ついた様子で彼を見つめ、口を尖らせた。「告白することも、企みと言うの？」

江口侑樹は薄い唇を固く結び、何も言わなかった。

その様子を見て、園田円香は軽くため息をつき、まぶたを伏せた後、何でもないふりをして言った。「もういいわ。冗談だと思って」

彼女は無理に笑みを浮かべた。「何も聞かなかったことにして」

「……」江口侑樹の眉間の皺はかえって深くなった。

また誰かが乾杯に来そうな様子を見て、園田円香は素早く感情を立て直し、優しく上品な笑顔を浮かべながら、自ら江口侑樹の腕に手を添えて、小声で言った。「私、ちゃんと社交の道具として役目を果たすから、安心して」

江口侑樹は再び彼女を一瞥した。

彼女の顔には先ほどの悲しみや物思いの表情は見られず、まるで自分の錯覚だったかのようで、思わず苦笑してしまった。

一体どちらが、彼女の本当の姿なのか。

しかし客が目の前まで来ていたので、江口侑樹も困惑と好奇心を収め、シャンパンを掲げて来客と歓談を始めた。

江口侑樹と共に多くの客と付き合い、園田円香は笑顔で顔が少し疲れてきた。彼女は江口侑樹の耳元に寄り、小声で言った。「ダーリン、ちょっとトイレに行ってくるわ」

江口侑樹は彼女を横目で見て、頷いた。

園田円香はようやく彼の腕を離し、トイレの方向へ向かって歩き出した。

男は立ったまま、黒い瞳が無意識に園田円香の姿を追い、耳には先ほど彼女が呼んだ「ダーリン」という言葉が響いていた。

心臓の鼓動が……また、制御不能になりかけているようだった。

ある来客がその様子を見て、思わず冗談めかして言った。「江川社長と奥様は本当に仲が良いですね。少し離れただけでも目が離せないようで」

彼がそう言うと、他の人々も同調した。

江口侑樹は視線を戻し、口角を少し上げただけで、否定はしなかった。

…

園田円香がまだトイレに着く前に、突然飛び出してきた安藤吉実に行く手を阻まれた。

彼女はそこに立ちはだかり、顔には明らかな怒りが浮かび、整った顔が恐ろしいほど歪んでいて、彼女の清純な雰囲気とは極めて不釣り合いだった。