第389章 先生の真の姿

彼女が大股で前に進んだとき、安藤吉実は背中に目があるかのように、突然振り返り、視線が一瞬で園田円香と合った。

安藤吉実は目を見開き、少し驚いた様子で、園田円香がここにいることも、こんなに直接的に近づいてくることも予想していなかったようだった。

彼女の最初の反応は、男性に向かって小声で言うことだった。「先生、先に行ってください。私が彼女を止めます。」

彼女は知っていた。先生は身分を明かしたくないということを。

すぐに、彼女は一歩踏み出し、園田円香の方へ向かい、両腕を広げて彼女の前に立ちはだかり、厳しい声で叱責した。「園田円香、何しに来たの?」

園田円香が庭園に足を踏み入れた時から、彼女の視線は「先生」と呼ばれる男性に釘付けだった。彼女の角度からは、その後ろ姿しか見えなかった。

体型から見ると、背が高くて痩せた男性で、ただし彼は大きな黒いコートを羽織っており、頭からつま先までほぼ覆われていた。さらに庭園には微かな明かりしかついていなかったため、彼女にははっきりと見えず、彼がどんな顔をしているのかまったく分からなかった。

安藤吉実が前に立ちはだかり、明らかに通させる気がない様子で、前方の先生は既に足を踏み出し、庭園の反対側へ向かって歩き始めていた。

逃げるつもり?

今日こそ、この先生の正体を見てやる!

園田円香は歯を食いしばり、両手で安藤吉実の腕を掴み、力強く脇へ押しのけた。「どけ!」

安藤吉実の力は当然園田円香には及ばず、強引に引き離されたが、園田円香が前に二歩追いかけただけで、また絡みついてきて、両手で園田円香の腰を抱きしめ、必死に止めようとした。

園田円香はただでさえ腹が立っていたのに、安藤吉実がしつこく絡んでくるので、さらに怒りが急上昇した。

彼女はもはや安藤吉実に対して遠慮する気はなく、片手で安藤吉実の髪を掴んだ。

安藤吉実は痛みで大声で罵った。「園田円香、この淫賤な女!離せ!」

「いいわよ、離してあげる!」

園田円香は手に力を込め、安藤吉実は否応なく体を起こさざるを得なくなり、そして園田円香は手際よく彼女の膝を蹴り上げた。

彼女は今日ハイヒールを履いており、ヒールは高く細かったため、そのヒールが安藤吉実の膝を直撃し、膝から力が抜け、そのまま園田円香の前にひざまずいてしまった。