第399章 主人格の覚醒

江口侑樹は目を少し開けて、そんな安藤吉実を見つめながら、冷たい声で言った。「私が何をするのか、あなたに説明する必要はないでしょう？」

安藤吉実は全身が激しく震え、目を大きく見開いた。

確かに……第二人格の江口侑樹は冷淡で薄情で、さらには……心がないとも言えるほどだった。

男女の感情面では、他の男性のように思いやりがあり優しいわけではないが、少なくとも、この3年間、彼の傍にいられた女性は、彼女だけだった。

それどころか、彼は彼女と結婚する意思があったのだ。

そして……園田円香との離婚が正式に成立していないことを知った後も、すぐに園田円香との離婚を決意したのだ。

それだけでも、彼の心の中での彼女の重要性を十分に示していた。

年末パーティーの時に、彼が園田円香の味方をしたことは、確かに胸が痛んだが、後で考えてみれば理解できることだった。

あのような場面では、大局を考えなければならず、結局のところ彼女は正式な立場ではなかったし、彼の名誉が傷つき、非難を浴びることも望んでいなかった。

でも……でも……この3年間、彼は一度もこんな口調で彼女に話しかけたことはなかったし、しかも……こんなにも冷たく。

やっぱり、園田円香が現れると良いことは何もない。

園田円香はいつも彼女の邪魔をする、何度も何度も邪魔をする。今は園田円香が手術台で死んでしまえばいい、二度と目を覚まさないでほしい！！！

安藤吉実は悔しさで目が赤くなり、涙が徐々に溜まってきた。「侑樹、私、私はあなたのことが心配で……あなたは、怪我をしてはいけないってわかっているでしょう！」

第二人格の江口侑樹が怪我をすると、彼は弱った状態になり、主人格の感情が少しでも揺れ動けば、主人格を抑えきれなくなってしまう。

そのため、この3年間、江口侑樹は決して自分を怪我させることはなく、危険な状況に身を置くこともなかった。彼女も同様だった。

以前、染野早紀が江口侑樹に復讐しに来た時も、彼女が考えることもなく飛び出して、彼の代わりに危険を受けたのはそのためだった。

彼女は怪我をしても構わないが、江口侑樹は怪我をしてはいけない。

彼は自分の状況を誰よりもよく理解していたのに、それでもあんな大きな危険を冒して、園田円香を救いに行った……

江口侑樹の頭は激しく痛み、彼女のすすり泣きを聞くと、さらに痛みが増した。