第410章 署名は偽物だ!

園田円香は眉間を少し寄せ、すぐには承諾しなかった。

その様子を見て、任田会長はますます確信した。園田円香が持っているこの委任状は絶対に偽物だ。やはり安藤吉実が言った通り、江川社長は彼女をかばっているのだ!

こう考えると、彼は何としても安藤吉実を守らなければならない。彼女が釈放されて再び江川慈善団体の指揮を執るようになれば、自分は第一功労者になるのだから!

任田会長はますます挑発的になった。「江川夫人、あなたは江川社長から安藤吉実の件を処理する権限を与えられたと口にしていますが、どうしました?私はただ筆跡の真偽を鑑定するよう求めただけなのに、もう怖気づいているのですか?まさか...あなたは私怨のために、偽の委任状を持ち出して皆を騙そうとしているのではないですか?」

皆の園田円香を見る目が、一気に疑いに満ちたものになった。

さらに安藤吉実派の役員たちまでが嘲笑し始めた。「江川夫人、ここはビジネスの場ですよ。女同士の嫉妬の戦場ではありません。あなたのやり方は、あまりにも恥ずかしいですね」

「そうですよ、だから女性は家に帰って夫を支え子供を育てるべきなんです。器が小さすぎるなら、出てきて騒ぐべきではない」

「器が小さすぎますよ、江川夫人!」

染野早紀の目が冷たくなり、この無神経な役員たちを叱りつけようとした。

しかし園田円香は彼女に向かって首を振り、少し落ち着くよう合図した。

染野早紀はようやく我慢した。今は円香の主役の場面だから、彼女が横取りするわけにはいかない。だが、冷やかな言葉を言ったこの数人は、しっかり覚えておいた。

会議が終わったら、木下に頼んで一人ずつ袋をかぶせて、殴りつけてやる!

園田円香はまぶたを上げ、視線を任田会長の得意げな顔に落とし、冷静に唇を少し曲げて言った。「それならば、筆跡鑑定を行いましょう」

彼女の言葉に、任田会長は思わず驚いた。

彼は彼女が筆跡鑑定など絶対に受け入れないだろうと思っていた。嘘はすぐにばれるからだ!

まさか彼女が同意するとは。

自分の偽造に自信があるのか?それとも演技しているだけなのか?

しかしどちらにせよ、恥をかくのは彼女自身だ。彼がそれを成就させない理由はない!

任田会長は言った。「私はすでに有名な鑑定専門家の柏木先生に会社に来ていただいています。今すぐ入ってもらいましょう」