一時間後、小柳弁護士が取調室に入ってきた。
彼は四、五十歳くらいの年齢で、精力的で健康そうに見え、目は鋭く、ぴしっとしたスーツ姿で、独特のオーラを放っていた。
警察官は彼を見るなり、思わず頭が痛くなった。
この小柳弁護士のことは、彼らもよく知っていた。金持ち専門のサービスを提供し、厄介なことで有名だった。彼がいる限り、容疑者から何か有用な情報を聞き出すのは極めて難しかった。
安藤吉実は警察官のその表情を見て、ますます得意げになった。
ほら、これが富の力だ!
お金さえあれば、何も恐れることはない!
小柳弁護士は警察官に向かって言った。「依頼人と二人きりで話をさせてください。」
この要求は合理的なもので、警察官も拒否できず、「二十分だ」と言うしかなかった。
小柳弁護士はさりげなく頷いた。
警察官は立ち上がり、部屋を出て、ドアを閉めた。
安藤吉実は視線を小柳弁護士に向け、笑いながら言った。「小柳弁護士、この件は、あなたの能力なら簡単なことでしょう?」
「私の唯一の要求は、早く解決することよ。一秒でもこんな場所にいたくないわ!」
この件はすでに園田円香というあの賤人によって事前に暴露されていたので、静かに処理する必要はもうなかった。今や逆に、彼女は堂々と対処したかった!
堂々と自分の潔白を証明し、そうすれば、あの愚かな大衆の口を封じることができる!
その後、騒ぎが収まったら、また名声を取り戻す方法を考えればいい!
小柳弁護士は椅子を引いて座り、彼女を見上げたが、表情は深刻になった。「安藤さん、この件は、もう制御不能な状態です。」
「何ですって?」安藤吉実は驚いて声を上げた。「どういう意味?こんな事件、あなたは年に何件も扱っているでしょう。今になって対処できないって?何のために雇ったのよ!」
最後には怒りを抑えられず、顔が歪んでいた。
小柳弁護士は警察官の前での冷静さを一変させ、憂いに満ちた表情で言った。「安藤さん、この件が外部に漏れていなければ、まだ挽回のチャンスがあったかもしれません。しかし今は...あなたが逮捕されてから今まで、外の世論はすでに爆発しています。ご存知の通り、水は船を運ぶこともできれば、覆すこともできるのです!」