第432章 一歩読み違えた

江口侑樹は足を止め、彼の方を横目で見た。

江川臨は一言一言はっきりと言った。「お前の計画は完璧だと思ったか？残念だが……お前はまだ一手読み違えている！」

「お前の妻と子供はすでに火の海に葬られた。お前自身が生き残ったところで何になる？すべてを取り戻したところで何になる？最後にはお前も私と同じ、孤独な身の上になるだけだ！」

言い終わると、彼はますます大声で笑い始めた。

江口侑樹は眉間にしわを寄せ、江川臨に構わず大股で立ち去った。

部屋を出ると、彼は携帯を取り出し、電話をかけた。

相手はすぐに出て、張本雅史の声が聞こえた。「侑樹。」

江口侑樹は要点だけを言った。「円香と子供に会いたい！」

張本は黙り込んだ。

江口侑樹の心は沈んだ。「つまり、江川臨が言っていた彼らが火の海に葬られたというのは、本当なのか？」

「……すまない。」張本の声は極めて重くなった。「私が一歩遅かった。」

江口侑樹の計画では、爆発が起きた後、江川臨の耳目を欺き、二手に分かれて江口侑樹と園田円香、そして子供を別々に救出するはずだった。

江口侑樹を救う人々は、あらかじめ水中に潜んでおり、極めて素早く江口侑樹を安全な場所に引き上げた後、爆発を起こした。

爆発が終わってから、高速ボートで園田円香と園田智則を救いに行くはずだった。

しかし彼らが到着した時には、園田円香と園田智則の姿は見当たらず、近くの海域を捜索しても彼らの姿を発見することはできなかった。

以前、張本は人がどうして忽然と消えるのか不思議に思っていたが、後になって気づいたのだ。江川臨という人物は生来疑い深く、確実に生き残りがいないようにするはずだと。

だから……彼らの救助隊が来る前に、江川臨の部下が園田円香と園田智則を海に突き落としたのだ。

「なぜ私に言わなかった？？」江口侑樹の言葉は、ほとんど歯の隙間から絞り出すように出てきた！

「侑樹、事態がここまで進んでしまった以上、何も君の邪魔をさせるわけにはいかなかった。さもなければ……江川臨が気づいたら、君は全てを失うことになる。だから私は君に隠すしかなかった。」

張本はため息をついた。「円香もそう考えていたはずだ。」

「お前に何がわかる！」江口侑樹の瞳の光は一瞬で暗くなった。「お前に何がわかるんだ！」

彼の声は怒りから嗄れ声へと変わった。