第27章:許さない

山瀬照明は彼らの結婚証明書を発行した後、それを折田坊ちゃまの側にいる女性に渡して確認させ、彼の心の中で疑問が深まった。

しかし、彼はこれらの疑問を口に出さなかった。輝利グループの社員がほぼ全員ここに集まっており、特に草刈輝岩もここにいるのを見て取った。

そのため、山瀬照明は急いで帰ることはせず、部下たちに荷物を持って先に帰るように指示し、自分自身は状況を見守るために残ることにした。見物と言っても良いだろう。

ただし、折田坊ちゃまに関することなので、見物とは言いづらかった。

鈴木花和は結婚証明書を確認した後、草刈綾美と田中志雄に返すように指示した。

草刈輝岩は暗い表情で尋ねた。「鈴木さん、これで満足されましたか?」

鈴木花和は頷いて答えた。「はい、満足です!」

「では、約束を果たしていただけますか?」草刈輝岩は鈴木花和を歯ぎしりしながら見つめ、視線は折田辻司に向けられていた。

その場にいる全員が、表面上は権限が鈴木花和に委ねられているように見えても、実際の決定権は折田辻司にあることを理解していた。

前の瞬間に同意して、次の瞬間に翻意することも、ありえないことではなかった。

鈴木花和もきっぱりと頷いて答えた。「もちろんです。」

そして、彼女は目を瞬かせながら笑顔で折田辻司に向かって言った。「折田坊ちゃま、私が提示した二つの条件を草刈会長が果たしましたので、折田グループと輝利グループの提携を再開してもよろしいでしょうか?」

一本の手が折田辻司の手のひらに触れ、何かを書いているようだった。

もちろん、鈴木花和のこの小さな動作に誰も気付かなかった。

折田辻司も笑顔でさっぱりと答えた。「もちろんです!」

そう言うと、折田辻司は電話を取り出し、すぐに電話をかけ、提携解消と同じように一言、「輝利グループとの提携を再開する!」と言って電話を切った。

折田辻司の言葉が落ちると、草刈輝岩の張り詰めていた心がようやく落ち着き、密かにほっと息をついた。そして、折田辻司に向かって非常に恭しく感謝の言葉を述べた。「折田坊ちゃまの特別なご配慮に感謝申し上げます。」

折田辻司は眉を上げ、冷笑しながら尋ねた。「草刈会長、あなたの大切なお嬢様が私をどのように侮辱したのかご存知ですか?」