第34章：帰って農業でもしようか

「鈴木さんの宿泊先はここです！」折田グループの会長室で、田野秘書は調べた住所を直接折田辻司に渡した。

他に調べる必要もなく、ただ一つの住所だけで、しかも簡単に調べられた。

折田辻司は紙切れを受け取り、そこに書かれた住所を見て、唇の端を上げ、妖艶な笑みを浮かべながら命じた。「99本のバラを注文して、明日届けるように！」

田野秘書は恭しく応えた。「はい、若様！」

田野秘書が出て行った後、折田辻司は二本の指でその紙切れを挟み、好奇心と面白そうな表情で笑いながら言った。「鈴木花和、お前がどれだけ持ちこたえられるか、見物だな？」

彼は自分の魅力を信じていた。権力を除いても、彼は容姿端麗で体格も良く、女性を魅了する魅力的な男性だった。

……

鈴木花和は少し不安げで顔色が青ざめながらソファに座っていた。

彼女は口の中で繰り返し呟いていた。「これは一体どういうこと？想像していた通りなのかしら？」

「もしそうだとしたら、どうやって中に入ればいいの？」

鈴木花和が呟き続けている時、無意識に手を伸ばし、胸元の玉飾りを握った。

彼女の口から「入る」という言葉が落ちた瞬間、突然場所が変わっていることに気付いた。

以前見た淵泉と二つの九宮格の土地を目にして、鈴木花和は再び呆然とした。

彼女の手はまだ胸元の玉飾りを握ったままだった。

その後、彼女は再び呟くように言った。「また現れた、やっぱり夢じゃなかったのね！」

「でも、これは一体どういうこと？」鈴木花和はまだ混乱していた。

彼女は周りを見回し、その後、ゆっくりと視線を戻し、玉飾りを握る手に目を向けた。

すると、この玉飾りの色が変わっているように見えた。

以前、この玉飾りは透き通った緑色だったが、今のような透明感のある輝きはなく、これほどの光沢もなかった。

それだけではなく、最も不思議に思ったのは、怪我をした時にこの玉飾りに血が付いたはずなのに。

怪我をしてから今まで、この玉飾りを洗っていないのに、血の跡が不思議と消えていた。

突然、鈴木花和はひらめいて驚きの声を上げた。「もしかして、この玉飾りのせい？」

その後、前回外に出た時も、この玉飾りを握っていたことを思い出した。

今回入ってきた時も、同じようにこの玉飾りを握り、「入る」と言った。

この推測を確かめるため。