第109話:厚かましい

翌日、まだ契約を結んでいない二十三世帯のうち、さらに五世帯が契約を結ばないことを決めた。

この五世帯は山本春香に説得されたのだった。

実は、普段、この五世帯は鈴木富岳の家族とは良好な関係にあり、まさに近くにいる者は影響を受けやすいというパターンだった。

山本春香は言った。「鈴木花和は土地を借りていちごを栽培したいんでしょう?私たちも一緒に栽培できますよ。彼女は家の幼い牛の王の糞を使っていちごを栽培したいんでしょう、私たちもできますよ。彼女は皆に約束したじゃないですか、家に来て自由に糞を取っていいって。

牛の王の糞で育てた作物が、おいしくないはずがありますか?売れないはずがありますか?こう考えると、自分たちで土地を耕す方が、鈴木花和に貸すよりずっと得じゃないですか。いちご栽培で一儲けできるかもしれませんよ。」