第176章:宮崎高空の身分(1更)

鈴木正大の家には数十万円もする貴重な花が何鉢かあり、短時間のうちに桃の里村中に広まり、老若男女皆が知るところとなった。

村中の人々が、この高価な花を見に集まってきた。

これらの花は椿、蘭、菊などだと分かった。

この知らせを聞いて、多くの人は夕食も取らずに、日が暮れる前に、家族総出で山に野花や野草を掘りに行った。

鈴木春日が通知を出した時には、村の半分近くの人々が既に山に入っていた。

村長の鈴木春日はそれを知って眉をひそめ、心配そうだったが、自分に言い聞かせた。「これだけの人数が山に入れば、大丈夫なはずだ!」

確かに、村の半分以上の百人以上が山に入れば、多勢に無勢で、猛獣に出くわしても対処できるはずだ。

それに、村の人々は普段から山に入り慣れていて、山のすみずみまでよく知っているので、何も問題は起きないはずだった。

鈴木春日は眉間にしわを寄せたまま、再び鈴木正大の家を訪れた。

「村長さん、どうしたんですか?」鈴木正大は村長の表情を見て、不思議そうに尋ねた。

鈴木春日は深いため息をつきながら言った。「村の大半の人が山に入ってしまったんだ。」

「えっ?」鈴木正大は驚いて言った。「もうそんなに早く皆山に入ったんですか?」

「お金の力は人の心を動かすものだよ!」村長は重々しくため息をつきながら言った。「君の家が山から掘ってきた蘭は数万円の価値があるということを知って。私たちのような農村の人間は、この数反の田んぼだけでは、一生かかってもそれだけのお金は稼げないからね。」

百斤の米でたった五、六十元。

一反の田んぼの収穫量は千斤ほどで、大半の家は二、三反の田んぼしかなく、計算すると千元ほど、年に二期作できる。

しかし、この米も、人口の多い家庭では自家消費で精一杯で、余剰米を売ることは難しい。

そのため、一年を通して、家族全員でもお金を貯めることは難しい。

ただし、幸いなことに、現在は若者のほとんどが出稼ぎに行くようになっている。

出稼ぎで稼ぐお金は、農業よりもずっと多い。

鈴木正大は慰めるように言った。「これだけの人数が山に入っているなら、何も問題は起きないでしょう。」

「そうであることを願うよ!」村長の鈴木春日もそう自分に言い聞かせるしかなかった。