第194章:バックがある(2)

「あれ、八百屋の店主さんはまだ来ていないの?」

桃の里青果店の前には早くから大勢の客が集まっていた。

誰かが携帯を取り出して時間を確認し、「もう7時過ぎよ。まだ開店しないの?私は6時過ぎに来て待っているのよ。遅く来たら野菜が売り切れちゃうと思って」と言った。まさか1時間以上も待たされるとは思わなかった。

「八百屋さんって、みんな早いはずでしょう?市場の店主たちなんて、もう早くから店を開けているわよ。この暑い夏なんて、4時や5時には野菜を売り始めているのに。この店は7時過ぎてもまだ来ないなんて、怠け者すぎじゃない?」

「ふふ、昨日も鈴木社長は怠け者だって話してたわね」

「でも、怠けるだけの理由があるのよ。だって、この店の野菜がよく売れるんだもの。市場の八百屋さんで、この店ほど美味しい野菜を売っているところなんてないでしょう」

「それはそうね。でも不思議よね。なぜこの店の野菜は他とこんなに違うのかしら?」

「そうよ、この店の野菜は特別に香りが良くて、食べたら忘れられないわ」

「鈴木社長が言うには、うちの野菜は全て自然栽培で農薬を使わない無公害の有機野菜だって。それが他の野菜と違う点なんじゃないかしら」

「でも田舎の人たちだって、自然栽培で農薬を使わない有機野菜を作っているわよ。でもその味は、この店の野菜とは比べものにならないわ」

鈴木花和の店の野菜がこれほど特別なことに、みんな疑問を抱いていた。

「確かに違いますね。でも鈴木社長の野菜を食べると、元気が出て心も体も爽やかになるし、食欲のない人でもおいしく食べられる。鈴木社長の野菜には問題ないと思います。ただ特別なだけで。それは店の秘密なんでしょう」

「そうね。私は前から足のリウマチで、雨の日はひどく痛かったの。でも鈴木社長の野菜を食べ始めてから、足の痛みが和らいできたわ」

「そういうことだったのね?最近足の痛みが減ったと思っていたの。うちのおじいちゃんもおばあちゃんも、足の痛みが前ほどひどくないって言ってたわ。私たちは天気が暖かくなったからだと思っていたけど。今やっとその理由が分かったわ」

「あら、そうだったの?私は子宮が冷えて、手足が冷たくなったり、お腹も冷えていたの。でもいつからか、そうそう、鈴木社長の野菜を食べ始めてからだと思うけど、お腹が温かくなって、とても気持ちよくなったの」