第306章:タイトルなし(17更)

木野文雄が注意を促すと、みんなはようやくその不思議な点に気づいた。

海老名道元は推測して言った。「それは社長と宮崎お爺さんがここにいるからじゃないですか?」

隊長の岳羽和真は即座に否定した。「違う。」

他の四人は疑問に思って彼を見つめ、尋ねた。「なぜですか?隊長、何か心当たりがあるんですか?」

隊長は外の道路を指差して言った。「道路のこれらの痕跡に気づかなかったのか?」

隊長にそう言われて、四人はすぐに気づいた。彼らはボディーガードとして、その観察力は確かなものだった。

「これらの車の痕跡を見ると、毎日多くの車が行き来しているはずだ。」

「なぜ普通の山村に、こんなに多くの車が出入りするんだ?」隊長は核心を突いた。「だから、必ず何か理由があるはずだ。その理由は社長たちとは関係ない。」

中村文美が言った。「中に入って見てみれば分かるでしょう。」

「そうですね、中に入って見てみましょう。」

「おそらく社長が私たちをここに派遣した理由も、その中にあるはずです。」

……

五人が宮崎家に到着すると、昨日鈴木のお父さんとお母さんに挨拶をしていたので、宮崎高空は直接彼らを鈴木家に連れて行った。

宮崎高空は言った。「おばさん、おじさん、この二人は私のいとこの中村文美と遠藤実里です。家が今人が多くて住めないので、しばらくの間こちらに泊めていただけませんか?」

鈴木のお母さんは笑顔で答えた。「もちろん、大丈夫ですよ。お二人どうぞ!」

宮崎高空は手首の腕時計を見上げ、まだ鈴木花和が起きる時間ではないことを確認した。

二人のいとこを鈴木家に案内した後、彼は急いで離れ、三人のボディーガードを連れて、まず鈴木家の牛小屋に向かい、中の二頭の牛を指差して言った。「この二頭は母子です。」

三人のボディーガードは、社長が彼らを牛小屋に連れてきて二頭の牛を紹介するのを見て、とても不思議に思い、心の中でますます疑問が膨らんでいった。

朝早くから、社長が牛を紹介する?

しかし、三人とも質問はしなかった。

彼らは知っていた。社長が彼らをここに連れてきたのには、必ず何か理由があるはずだと。

案の定……

宮崎高空は続けて説明した。「この二頭は普通の牛ではありません。この小さな黄牛は、桃の里の村民たちから牛の王と呼ばれていて、名前は華ちゃんです。」