「なに、華ちゃんが見当たらないって?」鈴木花和は表情を変え、焦りながら尋ねた。「どういうことなの?華ちゃんはどうして見当たらないの?」
桃の里が観光地として開発されることになり、鈴木大樹が牛の王・華ちゃんの情報を売ったことから、彼らはこの件について警戒していた。そのため、幼い牛の王が盗まれないよう、また鈴木花和の身の安全を確保するため、宮崎高空は自分の警備会社の精鋭ボディーガードチームを派遣していた。
一頭の牛のために精鋭チームを派遣するなんて、他人から見れば大げさだと思われるだろう。
結局のところ、この精鋭チームの各メンバーは、身体能力も知力も、一人で十人分の働きができるボディーガードなのだ。
富豪たちは、時として高額を払ってでも精鋭チームのメンバーを一人雇うことを選び、見せかけだけの複数のボディーガードを雇うことを避ける。