高級車が前方に消えるまで、見物人の若者が携帯で検索した内容を見ながら言った。「さっきのおばあさんを送り届けた車の車種、知ってる?」
「知らないよ」
「シルベ」
シルベ?
シルベってどんな車?
彼らはベンツやBMW、アウディが高級車だということしか知らなかった。
もしかしてあのおばあさんを送り届けた車は、高級車でもなんでもなかったのか?
若者は続けて言った。「さっきのシルベは世界限定10台で、価格は1億円」
1億円!
おばあさんの身分が並ではないことは分かっていたが、まさか車1台が1億円もするとは思わなかった。
おばあさんの身分は相当なものに違いない。
こんな権力者と繋がりができれば、三代先まで楽に暮らせるのに。そう思うと、皆は先ほどおばあさんを助けなかったことを後悔した。特に最初におばあさんが転んでいるのを見つけた若者は。