060:腹黒すぎる

「行こう」

その時、如月廷真が突然口を開いた。

若松峰也が尋ねた。「どこに行くんだ?」

「猫を探しに」如月廷真が答えた。

若松峰也は「......」

一瞬、彼は如月廷真が冗談を言っているのか、本気なのか区別がつかなかった。

土曜日、ショッピングモールは人でごった返していた。

如月廷真は192センチの長身で、本当に背が高く脚が長く、さらに国を傾けるほどの美貌の持ち主で、威厳があり、群衆の中を歩くと、現代の若手俳優たちを何倍も上回る存在感を放ち、通り過ぎる人々が振り返って見つめるほどだった。

蒼井真緒も友人の守谷朝乃とショッピングモールに来ていた。

前方の人混みの中で、守谷朝乃が何かを見つけたようで、群衆の中のある人影を指さして言った。「真緒、あそこを見て」

蒼井真緒が顔を上げると、すらりとした背の高い人影が目に入った。