「近頃、垣根の傍に菊を植えたが、秋が来ても花が咲かない。」
この二句の詩を聞いた時、蒼井華和はショートヘアの女の子の名前は「近秋」か「垣未」だと思っていたが、まさか「菊乃」だとは思わなかった。
大和菊乃は蒼井華和に手を差し出し、続けて言った。「蒼井さん、私のことは菊子と呼んでください。」
橘忻乃から北橋高校にすごく綺麗な校花が来たと聞いていた大和菊乃は、蒼井華和が綺麗だと心の準備をしていたが、実際に会ってみると、この人は綺麗という言葉では表現できないことを知った。
まさに九天仙女のようだった。
蒼井華和は微笑んで、大和菊乃の手を軽く握り、「私のことは華和って呼んでもいいし、みんなみたいに華和兄って呼んでもいいわ。」
「華和兄。」大和菊乃はすぐに打ち解けた。
蒼井華和はこういう人と付き合うのが好きで、すぐに女の子たちは打ち解けた。