「蒼井さんの本名は蒼井華和です」と藤原琳は言った。
蒼井華和?
これを聞いて、結城大奥様は呆然としてしまった。
周防鳳雅も呆然としていた。
ど、どうして蒼井華和なの!
二人の様子がおかしいのを見て、藤原琳も何かを察したようで、続けて尋ねた。「あなたたちが探していた蒼井さんは何という名前ですか?」
周防鳳雅は答えた。「蒼井真緒です」
「蒼井真緒?」藤原琳は眉をひそめた。
周防鳳雅は頷いた。
藤原琳は続けて言った。「詩瑶の具合が一向に良くならないのも、人違いだったからですね」
誰が想像できただろうか、結城家が探していた蒼井さんと、彼女が言っていた蒼井さんは全く別人だったとは。
ここまで話して、藤原琳は悔しそうな表情を浮かべた。「私が悪いんです。全て私の責任です!きちんと説明しなかった私が悪いんです!」