053:恥を晒す

「蒼井さんの本名は蒼井華和です」と藤原琳は言った。

蒼井華和?

これを聞いて、結城大奥様は呆然としてしまった。

周防鳳雅も呆然としていた。

ど、どうして蒼井華和なの!

二人の様子がおかしいのを見て、藤原琳も何かを察したようで、続けて尋ねた。「あなたたちが探していた蒼井さんは何という名前ですか?」

周防鳳雅は答えた。「蒼井真緒です」

「蒼井真緒?」藤原琳は眉をひそめた。

周防鳳雅は頷いた。

藤原琳は続けて言った。「詩瑶の具合が一向に良くならないのも、人違いだったからですね」

誰が想像できただろうか、結城家が探していた蒼井さんと、彼女が言っていた蒼井さんは全く別人だったとは。

ここまで話して、藤原琳は悔しそうな表情を浮かべた。「私が悪いんです。全て私の責任です!きちんと説明しなかった私が悪いんです!」