058:天から降る富貴

如月志弘はこの結婚について特に意見はなかった。

如月廷真が幸せならそれでよかった。

しかし早坂明慧はまだ心の結び目を解くことができなかった。

蒼井家のこのような計算づくの行動を考えるだけで、怒りが収まらなかった。「そうは言っても、あの養女が何者かなんて誰にもわからないわ!人は見かけによらないものよ。」

ここまで言って、早坂明慧はため息をついた。「河内市にはこんなにたくさんの素敵な女の子がいるのに、廷真はどうしてあんな田舎娘に目をつけたのかしら?」

如月志弘は立ち上がり、早坂明慧の肩に手を置いてソファに座り、笑いながら言った。「子や孫には子や孫の幸せがあるさ。君はあまり心配しすぎないほうがいい。」

早坂明慧は再びため息をついた。「廷真は他の人より辛い経験をしてきたのよ。誰かに騙されるなんて見たくないわ。」