若松満志は今、とても怒っていた。
若松峰也がこうなることが分かっていたら、あの時すぐに堕ろすべきだった。
ろくでなしめ。
若松岳登の指一本にも及ばない。
若松満志は月島紅香と結婚したことさえ後悔し始めていた。
月島家の遺伝子が悪いせいで、若松峰也が今のような人間になってしまったのだ。
月島紅香は若松峰也の手をしっかりと握り、「峰也、早くお父さんに謝りなさい」
「僕は悪くない」
月島紅香はため息をつき、若松満志を見つめた。「あなたも少し黙っていて」
そう言って、若松峰也の方を向いた。「峰也、お母さんと部屋に戻りましょう」
この状況では、父子の対立をこれ以上続けさせるわけにはいかなかった。
その様子を見て、若松岳登はすぐに若松満志を支えた。「お父さん、医者が言ってたでしょう。今は怒ってはいけないって」