「今日よ」矢野花音が答えた。
早坂明慧は、蒼井華和からもらった美容丸で人が病院に運ばれるとは思いもよらなかった。
彼女は最初、この美容丸は効果がないだけだと思っていた。
今になってみれば、この美容丸は効果がないどころか、毒まで含まれているようだ。
本当に恐ろしい。
「高城おばさんは今どうなの?」早坂明慧は続けて尋ねた。
矢野花音は首を振った。
傍らの篠崎月蓉が口を開いた。「病院に行ったということは、状況はかなり深刻でしょう」
そう言って、彼女は続けた。「この蒼井さんは随分と大胆ですね。何でも我が家に送ってくるなんて。もし人命に関わったらどうするつもりなのかしら?」
蒼井華和はまだ如月家の正式な嫁になっていないとはいえ、彼女の行為はもはや個人の問題ではなく、如月家の名誉まで傷つけることになる。
矢野花音はその言葉の含みを察し、すぐに言った。「私たち如月家は河内市の名家で、百年の書香の家柄よ。外部の人間一人のせいで、名声を汚すわけにはいかないわ」
早坂明慧は眉をきつく寄せ、目の奥に怒りを秘めていた。
「高城おばさんはどの病院?」早坂明慧は続けて尋ねた。
「お母様、なぜそれを?」矢野花音が尋ねた。
早坂明慧は言った。「まず病院に行って高城おばさんの状態を確認してから、他のことを話し合いましょう」
早坂明慧はやはり一家の主婦である。
彼女はこの件について軽々しく結論を出すべきではなく、まず高城おばさんの気持ちを落ち着かせる必要があることを知っていた。
篠崎月蓉が言った。「では、私が聞いてきます」
早坂明慧はこめかみを押さえながら、「お願い」と言った。
すぐに、篠崎月蓉は高城おばさんのいる病院を突き止めた。
「お母様、高城おばさんは第三病院にいます」
早坂明慧は頷いた。「私は上に行って服を着替えてくるわ。それからすぐに出発しましょう」
「はい」
矢野花音と篠崎月蓉もそれぞれ部屋に戻って着替えた。
早坂明慧は部屋に戻り、服を着替えようとした時、如月志弘が片付けた美容丸を見つけ、さらに怒りが込み上げてきた。すぐにそれを取り上げ、ゴミ箱に投げ捨てた。
30分後、姑と嫁三人は第三病院に到着した。
問い合わせの結果、高城おばさんの病室がわかった。
病室は3階にあった。
人々の声でごった返していた。