090:名実共に相応しい第1位(1万字チャプター)_7

恋人たちは、このようにして地下で永遠の眠りについた。

物語の結末は、間違いなく悲しいものだった。

バイオリンの音色も悲しげに、起伏に富んでいた。

その場にいた全員の目が、赤く潤んでいた。

この感情は簡単に伝染した。

橘忻乃は号泣しながら、「華和ちゃん、すごい!感動した!」と叫んだ。

結城詩瑶は橘忻乃を抱きしめ、同じように悲しく泣いていた。

最後の音符が消えると共に、演奏は正式に終了した。

蒼井華和は悲しい曲の余韻から抜け出し、審査員と観客に向かって軽く頭を下げた。

空気が数秒間静まり返った。

そして、地鳴りのような拍手が沸き起こった。

パチパチパチ——

次第に激しさを増していく。

「蒼井美人!蒼井美人!」

北橋高校の生徒たちが興奮して叫んだ。

他の人々も一緒に叫び始めた。

場内は一時騒然となった。

司会者は適切なタイミングで前に出て、興奮を抑えながら「蒼井華和さんによる『曾根崎心中』、本当に素晴らしかったですね。まるで徳兵衛とはつが目の前にいるかのようでした!」

そう言うと、司会者は続けて「それでは審査員の採点をお願いします!」と告げた。

審査員たちは互いに顔を見合わせ、最後は揃って満点を与えた。

全員が満点をつけたため、最高点と最低点を除外する必要がなく、蒼井華和の最終得点は100点となった。

司会者はマイクを持ち、「おめでとうございます、蒼井華和さん」と言った。

「ありがとうございます」

司会者は続けて「今のお気持ちをお聞かせください。特に感謝したい方はいらっしゃいますか?」と尋ねた。

「loloミルクティーに感謝します」と蒼井華和は答えた。

生涯無料でミルクティーが飲めることを考えただけで、とても嬉しくなった。

蒼井華和は目を細め、瞳には星が散りばめられたかのように輝いていた。

司会者は蒼井華和がなぜloloミルクティーに感謝するのか気になったが、質問はしなかった。というのも、これから上位三名の表彰式があったからだ。

続いて表彰式が行われた。

一位は蒼井華和。

二位は蒼井真緒。

三位は白川芙蓉。

白川芙蓉は今回、心から納得の敗北だった。

蒼井華和のような相手に負けることは、彼女にとって名誉なことだった。

ただ、蒼井真緒の今の心境はどうなのだろうか。