090:名実共に相応しい第1位(1万字チャプター)_6

田舎者は田舎者だ。ヴァイオリンを大鋸のように弾いていた。

彼女は、ヴァイオリンコンクールが村の入り口で木を切るようなものだと思っているのか?

本当に恥ずかしい限りだ。

審査員たちも呆れて首を振るばかり。

篠崎登世に至っては、その場を立ち去ろうとしていた。

この蒼井華和は、一体どんな勇気があって舞台に上がったのだろうか?

蒼井華和の演奏は良くなかったものの、司会者はプロ意識を持って尋ねた:「108番の出場者、準備はよろしいですか?」

決められた手順は踏まなければならない。

「はい、準備できています」

司会者は良心に背いて言った:「あなたの演奏を楽しみにしています」

演奏。

この言葉を聞いて、客席からまた大きな笑い声が起こった。

大鋸のような演奏に何が期待できるというのか?