篠崎澪はそこで初めて、自分の財布がなくなっていることに気づき、すぐに蒼井華和が差し出した財布を受け取って、笑顔で言った。「お嬢さん、ありがとう」
「どういたしまして」蒼井華和は微笑んだ。
「最近はあなたのような親切な娘さんは少ないわね」篠崎澪は以前ネックレスを無くしたことがあり、結局警察に通報して解決したのだった。
蒼井紫苑は蒼井華和を見つめた。
瞳を細めて。
目の前の少女は十六、七歳くらいで、澄んだ瞳と白い歯、芸能界の数々の美人を見てきた蒼井家のお嬢様である蒼井紫苑でさえ、認めざるを得なかった。確かにこれは絶世の美人だった。
人柄は骨格に現れると言うが、明らかに目の前の人物は気品も備わっていた。
芸能界にいれば、間違いなく世間を驚かせる存在になるだろう。
目の前の少女は本当に美しすぎた。