093:蒼井華和を見た!_5

如月廷真は頭を下げて子猫の頭を撫でながら、「缶詰を持ってくるね」と言った。

まんたんはその言葉を聞いて、途端に鳴き声が大きくなった。

ニャー!

......

帝都。

蒼井大婆様は書斎の椅子に座り、険しい顔で蒼井修誠を叱りつけていた。

「自分を見てみなさい。あなた、父親らしい姿をしているとでも思っているの?」

「家がどんな状態になっているか分かっているの?」

「息子は息子らしくなく、娘は娘らしくない。本当に恥ずかしい事態になったら、あなたはどう世間様に顔向けするつもり?」

蒼井大婆様はこの年齢で、どんな経験もしてきた。

名家の中で、このような例は珍しくなく、しかも二人は実の兄妹なのだ!

蒼井修誠は頭を下げていた。

五十歳の人間が、母親に叱られて一言も言えないでいる。

しばらくして、蒼井大婆様の怒りが少し収まったのを見て、蒼井修誠は続けた。「ご心配なく、陽翔に境界線を意識するように言います」

見えないことならそれでもいい。

でも今は見てしまった。

「境界線を意識するだけじゃない。あの養女は油断ならない子よ」蒼井大婆様は蒼井修誠を見つめた。「篠崎澪は役立たずで、あなたはいつも家にいない。琥翔がどんなに優秀でも、仕事と家庭の両立は難しい。私は決めたわ。今年は帰らないことにする。そうしないと、この家はどうなるか分からないわ!」

蒼井修誠は蒼井大婆様が蒼井紫苑を好まないことを知っていた。「母上、実は紫苑も孝行で優しい良い子です」

少なくとも蒼井修誠の目にはそう映っていた。

「孝行で優しい?」蒼井大婆様は冷ややかに笑った。「演技に決まっているでしょう!」

そう。

蒼井大婆様は最初から蒼井紫苑が好きではなかった。

他の子供たちとは違う。

蒼井紫苑は物心ついた時から偽りの笑顔を浮かべ、蒼井家の全員の機嫌を取ろうと努力していた。子供らしい純真さがなく、まるで仮面をつけた人のようだった。

「母上、そんなに複雑に考えないでください。紫苑はまだ子供です」

蒼井修誠は家にいることが少なく、蒼井紫苑との接点もほとんどなかった。

彼から見れば、十八歳の子供が、どれほど悪い子であり得るだろうか?

蒼井大婆様が子供と対立する必要はないはずだ。