......
河内市。
北橋高校。
蒼井華和は非常に早く来て、ほぼクラスで一番最初に教室に来た生徒だった。
橘忻乃は蒼井華和の後ろについて教室に入ってきて、入るなり慌てて声を上げた。「蒼井美人、蒼井美人!」
「どうしたの?」
橘忻乃は鞄を机の中に入れながら、「宿題全部終わった?」
「うん」蒼井華和は軽く頷いた。
橘忻乃は両手を合わせて、「じゃあ、写させて!この数日間家で遊びすぎちゃって、宿題一問も手付かずなの」
休みに入る前、橘忻乃は早々に計画を立てていた。休暇初日に宿題を全部終わらせて、二日目は復習、三日目も復習して、来る月例テストに備えるつもりだった。
しかし休暇に入ると、計画は完全に崩壊した。
一日目はゲーム、二日目もゲーム、三日目になってようやくゲームから離れたと思ったら、今度は女友達に誘われて買い物に行ってしまった。
「だから今日こんなに早く来たのは、宿題を終わらせるため?」
「うんうん」橘忻乃は首を何度も縦に振った。「だから蒼井美人、どうにか...」
蒼井華和は眉を少し上げて尋ねた。「私がこんなに早く来た理由が分かる?」
橘忻乃は目を丸くした。「蒼井美人、まさか、あなたも宿題を終わらせに来たの?」
蒼井華和は軽く微笑んで、「どう思う?」
橘忻乃には信じられなかった。
誰が想像できただろう。蒼井華和のような、学業も運動も芸術も、何もかも完璧な優等生が、宿題を期限内に終わらせていないなんて!
「本当なの?」橘忻乃は半信半疑だった。
蒼井華和はカバンから真新しいテスト用紙を取り出した。「早く宿題やりましょう」
テスト用紙を見て、橘忻乃はようやくこれが本当だと信じられた。
心の中で大きな衝撃を受けた。
女神との距離がまた一歩近づいた気がした。
高嶺の花のような女神様も宿題を期限内に終わらせられないことがあるんだ。
数分後、蒼井華和は書き終えたテスト用紙を橘忻乃に渡した。「写す?」
「もうできたの?」橘忻乃は非常に驚いた。
「英語は選択問題が多いから、早かったの」と蒼井華和は言った。
橘忻乃は蒼井華和が適当に埋めただけじゃないかと疑っていた。でもこんな時だから、適当に埋めただけだとしても写すしかない。
まだ写し終わっていないうちに、また一枚のテスト用紙が差し出された。