高城ママは蒼井紫苑を見つめ、続けて言った。「あの子は千里も離れた河内市に送り届けたから、そう簡単には見つからないはずよ」
これだけの年月が経てば、もう死んでいるかもしれない。
寒い冬の日。
赤ちゃんの傷は何の手当てもされていなかった。少しでも発見が遅ければ、死んでしまうはずだった。
「聞くけど、なぜ直接殺さなかったの?」蒼井紫苑は高城ママをじっと見つめた。
その眼差しには毒気が満ちていた。
すでにそこまでやると決めたのなら、なぜ最後までやり遂げなかったのか?
高城ママはため息をつき、「あの子はあなたと同じ年頃で……」
実は、当時の高城ママも蒼井華和を始末することを考えなかったわけではなかった。
しかし、自分の娘と同じくらいの年の子を見て、どうしても手が出せなかった。