096:自業自得_3

「いいえ！私はあなた以上に孫の命を大切に思っています！」

嶽本登志は母親を信じることにした。「蒼井さん、手術の手配をお願いします」

「本当によろしいですか？」蒼井華和は眉をひそめた。

嶽本登志はうなずいた。

久世先生が続けて言った。「では、手術前の同意書と免責同意書にサインをお願いします。もし、ご家族が密かに子供に食べ物を与えたことで麻酔後に胃内容物の逆流が起きた場合、蒼井さんと病院は一切の責任を負いません」

嶽本登志は早乙女恵子の方を見た。

早乙女恵子は困ったような表情を浮かべた。

嶽本お婆ちゃんが言った。「サインすればいいじゃない」

そう言いながら、嶽本登志と早乙女恵子を慰めた。「大丈夫、心配しないで。私は何も与えていないと言ったでしょう」

彼女は病院から危篤通知書を何度も受け取ったことがあるのに、今でもまだ元気に生きている。

免責同意書と同意書にサインをした後、久世先生は証拠として動画撮影も手配した。人命に関わることだからだ。

患者の家族が再三主張し、同意書と免責同意書へのサインにも応じたため、蒼井華和は仕方なく嶽本颯太の手術を手配することにした。

おそらく彼女の予想が間違っていたのかもしれない。

そうでなければ、嶽本家の者たちがこれほどの大きなリスクを冒すはずがない。

手術灯が再び点灯した。

様々な作業が整然と進められていた。

麻酔科医が麻酔を投与すると、嶽本颯太はぐっすりと眠りについた。

手術が三分の一ほど進んだところで、嶽本颯太の状態が急変した。心拍数が急激に低下し、顔色が真っ白になり、消化されていない食べ物を吐き出した。

蒼井華和の表情が変わり、その瞬間、全ての医療スタッフも緊張した面持ちになった。

これが胃内容物の逆流だ。

懸念していたことが現実となった。

嶽本お婆ちゃんは嘘をついていたようだ。

蒼井華和が最初に反応した。

「アドレナリン一本投与して」

「除細動器！」

「......」

「患者家族に危篤通知書を出して！」

外で待っていた三人は中の様子を非常に心配そうに見つめていた。

そのとき、看護師がドアを開けて出てきた。「嶽本颯太さんのご家族はどちらですか？」

「私たちです！」早乙女恵子と嶽本登志はすぐに小走りで近寄った。