蒼井大婆様は年を取っていて、免疫システムが弱く、アレルギーを起こすと少なくとも一週間は回復に時間がかかる。
その時には蒼井家の次男が必ず息子を連れて蒼井大婆様を見舞いに来るはずだ。
そうすれば蒼井大婆様は河内市まで行く必要がなくなる。
枇杷膏と梨を一緒に煮込むのは咳止めの良薬だが、蒼井大婆様がアレルギーを起こしても、それは自分の責任ではない。
そう考えると、蒼井紫苑は口角を上げた。
煮込みが終わると、蒼井紫苑はスープを器に注ぎ、蒼井大婆様の部屋へ運んだ。
蒼井大婆様は蒼井家の次男の嫁である春日吉珠と話をしており、笑顔を浮かべていた。「教師?教師はいいわね。学問のある家柄で、人を教え育てる。家柄が少し劣っていても構わないわ。人柄さえ良ければいいのよ」
蒼井家には何もない。