「ありがとうございます、蒼井さん」
蒼井華和は続けて注意を促した。「この期間は過度な悲しみは禁物です。早寝早起きをして、規則正しい食事を心がけてください」
「はい」
周防鳳雅は傍らに立ち、「恵子、登志、蒼井さんの言葉をしっかり覚えておくのよ」と言った。
「安心してください」早乙女恵子は周防鳳雅を見つめて答えた。
早乙女恵子の様子を見て、周防鳳雅も少し安心した。
以前と比べると、早乙女恵子の状態は格段に良くなっていた。
嶽本家を出て、周防鳳雅は車で蒼井華和を送ろうとした。
蒼井華和は丁寧に断った。「自転車で帰りますから」
緊急の場合でなければ、蒼井華和はほとんど車に乗ることはなかった。
「ここからあなたの家まで二十キロもあるのよ!」
車なら二十分ほどだが、自転車だと少なくとも三十分以上かかる。