109:名実ともに第1位

朝比奈瑠璃はそのまま蒼井華和を見つめていた。

完全に呆然としていた。

彼女は黒いジャケットに黒いレザーパンツを着て、足には同じ色のマーティンブーツを履いていた。

全身から野性的な不良っぽさを漂わせていた。

とてもクールだった。

朝比奈瑠璃が反応する間もなく、蒼井華和はレース会場に向かった。

「1番ライダー、庄周騎大魚選手をご紹介します。」

「2番ライダー、狼夜選手。」

「3番ライダー、火華の戯選手。」

「4番ライダー、玉響の瞳選手。」

「......」

「10番ライダー、幽霊選手。」

蒼井華和は司会者が彼女の名前を呼んだ時にちょうどコースに入った。

身長173センチ、長くまっすぐな脚線美を持ち、ヘルメットで顔は見えないものの、九頭身のスタイルで群を抜いていた。

司会者が競技ルールを説明し始めた。

観客席では賭けが始まった。

一人一選手のみ賭けることができる。

一口1000元からスタート。

勝てば5000元となる。

2倍の2000元なら、勝てば10000元。

3倍の3000元なら、勝てば15000元となる。

このように続き、上限はない。

観客席では大きな議論が交わされていた。

即座に好みのライダーを選ぶ人もいれば。

迷っている人もいた。

「内部情報があるんだ、3番を選べ。」

「3番?その内部情報は怪しいんじゃないか?3番はあんなに痩せてて、勝てそうにないぞ。」

「人は見かけによらないって言うだろう。」

痩せているからといって勝てないわけじゃない。

しかし、主催者側が仕込んだサクラではないかと疑う人もいた。

もし3番に爆発力がなければ、彼らの金は水の泡となる。

「やっぱり5番にしよう。」

全部で10人のライダー。

5番が一番体格がよかった。

身長189センチ、体重は300斤近く、威風堂々としたバイクも彼の前では小さく見えた。

「10番を選ぶ人はいないのか?」

この言葉に、周りから笑い声が起こった。

「10番が女だって分からないのか?」

レーサーは全員男性だ。

観客の5分の4も男性だ。

バイクとモーターバイクは違う。

モーターバイクはエンジンで動力を生み出し、電動バイクと変わらない乗り方で、男女問わず乗れる。