「まさかあなたには作れるとでも?」助手が問い返した。
森長夜は一瞬黙り込んだ。
彼は....
確かに作れなかった。
師匠の名を汚してしまった。
鎮靜丸さえ作れない者に、発言権などない。
助手は続けた:「もうすぐ薬王大会が始まりますが、皆さんは夢野空さんのこの鎮靜丸が何位を取れると思いますか?」
「それは当然一位でしょう!」
すぐに誰かが同意した。
......
北橋高校。
蒼井華和がラブレターの束を片付け終わったところで、振り向くと美しい女子生徒に行く手を阻まれた。
「あなたが学年一位なの?」
美しい女子生徒の周りには、スマートフォンを手にした数人の女子生徒が見物していた。
「そうです」蒼井華和は少し目を伏せた。
「そんなに頭がいいなら、一つ質問していい?三秒以内に答えられたら、本当に凄いって認めるわ」美しい女子生徒は続けて尋ねた。
「どうぞ」今日の蒼井華和は大好きなミルクティーを二杯も飲んで、機嫌が良かった。
美しい女子生徒は続けた:「昔、バカな人がいて、何を聞かれても『ない』としか答えなかったの。あなたはそのバカな人を見たことある?」
これを聞いて、蒼井華和は少し眉を上げ、えくぼを浮かべながら「以前も私にこの質問をしましたよね?」と言った。
「ない」美しい女子生徒は考えもせずに答えた。
蒼井華和は軽く笑った。
美しい女子生徒が出したのは罠にかけるような問題で、知能を試すものだった。
早とちりする人は「ない」と直接答えてしまう。
しかし「ない」と答えてしまえば、答えた人自身がそのバカな人になってしまう。
思慮深い人は「ない」という答えを避ける。
しかし蒼井華和はこの質問を避けただけでなく、逆に相手を罠にはめた。
美しい女子生徒はようやく気付いた。蒼井華和に策略にはめられたのだと。
彼女が「ない」と答えたことで、彼女自身がそのバカな人になってしまった!
本当に恥ずかしい!
元々は動画を撮って学校の掲示板に投稿し、みんなで蒼井華和を笑うつもりだった。
まさか、自分が笑い者になるとは。
「お子様、怒らないで。帰って脳トレでもしたら?」蒼井華和は続けて言った。
「どういう意味?」美しい女子生徒が尋ねた。
蒼井華和は軽く笑って「つまり、人間は頭が空っぽでもいいけど、水が入っちゃダメってことよ」