113:華和が人生を教える_4

「まさかあなたには作れるとでも?」助手が問い返した。

森長夜は一瞬黙り込んだ。

彼は....

確かに作れなかった。

師匠の名を汚してしまった。

鎮靜丸さえ作れない者に、発言権などない。

助手は続けた:「もうすぐ薬王大会が始まりますが、皆さんは夢野空さんのこの鎮靜丸が何位を取れると思いますか?」

「それは当然一位でしょう!」

すぐに誰かが同意した。

......

北橋高校。

蒼井華和がラブレターの束を片付け終わったところで、振り向くと美しい女子生徒に行く手を阻まれた。

「あなたが学年一位なの?」

美しい女子生徒の周りには、スマートフォンを手にした数人の女子生徒が見物していた。

「そうです」蒼井華和は少し目を伏せた。

「そんなに頭がいいなら、一つ質問していい?三秒以内に答えられたら、本当に凄いって認めるわ」美しい女子生徒は続けて尋ねた。

「どうぞ」今日の蒼井華和は大好きなミルクティーを二杯も飲んで、機嫌が良かった。

美しい女子生徒は続けた:「昔、バカな人がいて、何を聞かれても『ない』としか答えなかったの。あなたはそのバカな人を見たことある?」

これを聞いて、蒼井華和は少し眉を上げ、えくぼを浮かべながら「以前も私にこの質問をしましたよね?」と言った。

「ない」美しい女子生徒は考えもせずに答えた。

蒼井華和は軽く笑った。

美しい女子生徒が出したのは罠にかけるような問題で、知能を試すものだった。

早とちりする人は「ない」と直接答えてしまう。

しかし「ない」と答えてしまえば、答えた人自身がそのバカな人になってしまう。

思慮深い人は「ない」という答えを避ける。

しかし蒼井華和はこの質問を避けただけでなく、逆に相手を罠にはめた。

美しい女子生徒はようやく気付いた。蒼井華和に策略にはめられたのだと。

彼女が「ない」と答えたことで、彼女自身がそのバカな人になってしまった!

本当に恥ずかしい!

元々は動画を撮って学校の掲示板に投稿し、みんなで蒼井華和を笑うつもりだった。

まさか、自分が笑い者になるとは。

「お子様、怒らないで。帰って脳トレでもしたら?」蒼井華和は続けて言った。

「どういう意味?」美しい女子生徒が尋ねた。

蒼井華和は軽く笑って「つまり、人間は頭が空っぽでもいいけど、水が入っちゃダメってことよ」