112:華和が出る_3

如月大爺様の病は帝都一の名医でさえ手の施しようがなかった。

しかし、早坂明慧の目には、それはまるで風邪や発熱のような些細な病気のように映っていた。

漢方薬を一服?

白川雪乃は如月佳織の娘が夢野空さんを呼べることを非常に妬ましく思っていたが、このような時、彼女は如月佳織と同じ立場を取らなければならなかった。

長男一家に如月大爺様を殺させるわけにはいかない。

「お義姉さん、私たちはあなたを信じていないわけではありませんが、あなたの言葉には全く信憑性がないのです。」

信憑性のない話を、どうやって信じろというのか?

「夢野空さんは第一の名医ですが、廷真の婚約者は何なのですか?」

白問はすでに何年も姿を消している。

夢野空が今は第一なのだ。

早坂明慧は口を開きかけたが、言葉が出なかった。

夢野空が来ることを知り。

院長は副院長と主任医師を率いて、病院の入り口で夢野空を出迎えた。

午後三時。

一台のロールスロイスのリムジンが病院の入り口に停まった。

白い手袋をした警備員が運転席から降り、後部座席のドアを開けた。

しばらくして。

背の高い女性が車から降りた。

女性は西洋風のヴィンテージな膝丈のワンピースを着ていた。

金色の長い巻き毛。

アーモンド形の目、卵形の顔、精巧な化粧をし、前方を見つめ、人に高慢な印象を与えていた。

後ろの助手がすぐに傘を広げ、頭上の日差しを遮った。

これを見て、院長はすぐに笑顔を作り、迎えに行った。

「夢野空さん。」

夢野空は頭を下げて、お辞儀をする院長を見た。

院長は続けて言った:「夢野空さん、私は帝都総合病院の院長の成田と申します。病院の全ての医師を代表して、夢野空さんのご来院を歓迎いたします。」

夢野空は今年、医学界で二つの大きな賞を受賞している。

成田院長だけでなく、帝都の高官でさえ彼女の前では頭を下げなければならない。

夢野空は何も言わず、傘を差す助手が口を開いた:「成田院長、そこまでの歓迎は必要ありません。夢野空さんは今回、友人の依頼で、ある長老の診察に来ただけです。」

院長は夢野空が来ることは知っていたが、その目的は知らなかった。

それを聞いて、すぐに尋ねた:「患者様のお名前は?」

助手は答えた:「如月という姓の長老です。」

如月姓。

院長はすぐに如月大爺様を思い出した。