112:華和が出る_2

そのとき、携帯が光った。

蒼井華和は携帯を取り出すと、早坂明慧からのメッセージを見た。

蒼井華和は診断書を開いた。

肺に血液が溜まっていた。

肺の出血が非常に深刻で、早急に手術をしないと命に関わる可能性があった。

しかし、幸い如月大爺様の病気は早期発見だった。

まだ助かる見込みがあった。

蒼井華和は音声通話をタップし、早坂明慧に電話をかけた。

早坂明慧はすぐに電話に出た。「華和」

蒼井華和は言った。「おばさま、送っていただいたメッセージ、全部拝見しました」

「どう?父は大丈夫なの?」早坂明慧は緊張した様子で尋ねた。

蒼井華和は穏やかな声で答えた。「大きな問題ではありません。ご心配なさらないでください。鎮靜丸は如月お爺ちゃんの症状を和らげるのに効果的です。それと、処方箋をお渡ししますので、それに従って薬を飲ませてください」

「え?手術は必要ないの?」早坂明慧は尋ねた。

彼女は如月大爺様の状態が深刻で、必ず手術が必要だと思っていた。

「必要ありません」と言って、蒼井華和は続けた。「ただし、鎮靜丸は必ず服用してください」

鎮靜丸には血液を浄化する効果があり、漢方薬の効果と合わせれば、如月大爺様は完治できるはずだった。

「わかりました」

電話を切った後、蒼井華和は処方箋を手書きで書き、写真を撮って早坂明慧に送信した。

如月志弘はすぐに尋ねた。「明慧、華和は何て言っていた?」

早坂明慧は蒼井華和の言葉を繰り返し、携帯を取り出した。「ほら、これが華和が書いた処方箋よ」

とても標準的な瘦金体だった。

きっと長年の練習の賜物だろう。

如月志弘は感嘆して言った。「なんて美しい字なんだ!」

如月志弘の字も非常に綺麗だった。

しかし蒼井華和の字と比べると、かなりの差があった。

早坂明慧は頷きながら、笑みを浮かべ、如月廷真は本当に運が良かったと思った。

蒼井華和の処方箋を見て、如月志弘の気分は一気に良くなった。

この義理の娘とはあまり付き合いがなかったが、蒼井華和が軽率な人間ではないことは感じ取れた。

蒼井華和が薬を飲めば如月大爺様は治ると言うのだから、きっとそうなるはずだ。

......

一方その頃。

林芝乃は小走りで如月佳織の部屋に向かった。

「ママ!」