111:大物の姿勢_2

周防大婆様も昔のことを思い出すと、とても後悔していた。

蒼井華和を引き取ってから一ヶ月も経たないうちに、娘が妊娠したなんて知るはずもなかった。

今から考えれば、蒼井華和を引き取らなくても、周防蕾香は妊娠していただろう。

「お母さん、お祖母ちゃん、もう少し控えめにしてください。過ぎたことは過ぎたことです」蒼井真緒は続けて言った。「名誉は女の子にとってとても大切なものです。私は姉さんの人柄を信じています。姉さんが何かを盗むはずがありません」

一方で名誉が女の子にとって大切だと強調しながら、もう一方で蒼井華和の人柄を信じていると言う。

これは明らかに、隠そうとして逆に目立たせてしまっている。

「あの子に人柄なんてわかるはずがないでしょう?人柄があるなら、物を盗んだりしないはずよ!」