111:大物の姿勢_2

周防大婆様も昔のことを思い出すと、とても後悔していた。

蒼井華和を引き取ってから一ヶ月も経たないうちに、娘が妊娠したなんて知るはずもなかった。

今から考えれば、蒼井華和を引き取らなくても、周防蕾香は妊娠していただろう。

「お母さん、お祖母ちゃん、もう少し控えめにしてください。過ぎたことは過ぎたことです」蒼井真緒は続けて言った。「名誉は女の子にとってとても大切なものです。私は姉さんの人柄を信じています。姉さんが何かを盗むはずがありません」

一方で名誉が女の子にとって大切だと強調しながら、もう一方で蒼井華和の人柄を信じていると言う。

これは明らかに、隠そうとして逆に目立たせてしまっている。

「あの子に人柄なんてわかるはずがないでしょう?人柄があるなら、物を盗んだりしないはずよ!」

蒼井真緒の人柄からすれば、彼女が盗みを働くはずがない。

でも蒼井華和は田舎から来た村娘に過ぎない。

田舎の村娘は正規の教育を受けていない、何をしでかすかわからない。

「お母さん、姉さんのことをそんな風に言わないでください」蒼井真緒は言った。

「あの子はあなたの姉じゃない!」

周防大婆様はすぐに同調した。「お母さんの言う通りよ。あの子があなたの姉なんて相応しくないわ!」

こんな妹がいては、蒼井真緒の恥になるだけだ。

蒼井真緒はため息をついた。

周防蕾香はこめかみを押さえながら、「あの子のことを考えると頭が痛くなるわ。想生、お祖母ちゃんとお母さんを上の階で休ませてあげて」

「はい」周防想生は頷いた。

三人は階段を上がった。

周防想生は好奇心から尋ねた。「お祖母ちゃん、あの田舎の子はとても綺麗だって聞いたけど、本当?」

周防想生は蒼井家にそんな人がいることは知っていたが、蒼井華和に会ったことは一度もなかった。

「ただの若造よ、田舎から来た子が、どれほど綺麗なわけがないでしょう?」周防大婆様は言った。

周防想生は続けて聞いた。「真緒と比べたら、どっちが綺麗なの?」

これを聞いて、周防大婆様は眉をひそめて言った。「あなたのいとこが田舎の子に劣るわけがないでしょう?あの田舎の子は、真緒の髪の毛一本にも及ばないわ!」

物を盗む。

しかも醜い。

たちまち周防想生の中での蒼井華和のイメージは底まで落ちた。