111:大物の姿勢_3

周防想生は弱々しい母親を見て、やむを得ずため息をついた。

橘雲香はもう二度と立ち上がれないだろう。

「私は間違っていない、謝るつもりなんてないわ!」周防想生は続けて言った。「そんな考え方がそもそも間違っているのよ。」

「育ちの悪い子ね」周防大婆様は怒りで胸が痛くなった。「どうして真緒を見習えないの?」

二人は実の姉妹ではないが、従姉妹として血のつながりがあるのに、周防想生は蒼井真緒に少しも似ていなかった。

蒼井真緒の三分の一にも及ばないほどだった。

「そんなに彼女が好きなら、あなたの孫にすればいいじゃない!」周防想生は言い返した。

周防大婆様はさらに怒り、胸を押さえて苦しそうに眉をひそめた。

橘雲香はすぐに周防大婆様の背中をさすりながら、「お母様、想生はまだ若いんです。つい口が滑っただけです。そんなに気になさらないで」

「うちの周防家は八代前から運が尽きていたのね。あなたのような人を嫁に迎えて、娘一人まともに育てられないなんて。よくこの世に生きていられるわね!」周防大婆様は橘雲香を睨みつけ、激しく言い放った。

「母は息子をちゃんと育てればいいじゃない。お婆様はいつも、嫁に行った娘は流した水と同じって言ってたでしょう?」周防想生は母親と違って、周防大婆様を恐れなかった。

普段から思ったことをそのまま言い、わざと機嫌を取ろうとはしなかった。

たとえ彼女がどんなに良いことをしても、この偏った祖母は彼女のことを好きになることはないのだから。

長男の孫のことを聞いて、周防大婆様の顔から怒りが少し消えた。

長男の孫の顔を立てなければ、とっくに息子にこの出来の悪い女と離婚させていただろう。

階下では。

蒼井真緒は一時間待ったが、アダムからの電話は来なかった。

移動時間を計算すると、一時間あれば、ダニエルもUK本部に戻っているはずだった。

これはどういうことだろう?

周防蕾香も少し焦っていた。

「真緒、まだアダムから電話はないの?」

「まだです」蒼井真緒は首を振った。

それを聞いて、周防蕾香の心に不吉な予感が湧き上がった。

まさか……

まさか蒼井真緒は本当に契約を解除されたの?

そんなはずない!

そんなはずない!

蒼井真緒はこんなに優秀なのに、どうして契約解除されるなんてことがあり得るの?