シュッ!
ダーツが素早く放たれた。
パン。
そして、ダーツボードにしっかりと刺さった。
赤い的の中心に命中。
「すげえ!夏目さんやるな!」
「女傑だ!」
「これで蒼井華和は終わりだな。夏目さんと勝負しようなんて、どこからそんな勇気が出てきたんだ?卵で岩を砕くようなものじゃないか?」
「笑えるよ、自分が綺麗だから、みんながストリップショーをさせたくないと思うと思ったんじゃない?」
「もしかしたら、そういう趣味があるのかもね!」
「......」
周りから笑い声が絶えなかった。
その声を聞きながら、夏目望美は口角を上げた。
そのとき、橘忻乃が横から近づいてきて、結城詩瑶に不思議そうに尋ねた。「詩瑶、これはどういうこと?」
結城詩瑶は事の概要を橘忻乃に説明し、証文を渡した。
事の経緯を理解した橘忻乃は、眉をひそめながら夏目望美を見上げた。「夏目望美、やりすぎじゃないの?」
ストリップショー?
よく夏目望美がそんなことを言えたものだ!
今日の主催者として、もし彼女が止めなければ、事態を放置すれば、夏目望美が負けた場合、夏目家の者は必ず彼女を責めるだろう。
もし夏目望美が勝ったら、蒼井華和はどうなる?
蒼井華和は彼女の親友なのに!
「なに、負けを認められないの?」夏目望美は攻撃的に言った。
夏目望美は蒼井華和に人としての道を教えたいと思っていたので、試合を諦めるわけにはいかなかった。
橘忻乃は続けて言った。「自分が勝つって、そんなに確信持ってるの?負けたらどうするつもり?結果のことを考えた?」
女の子として、名誉が一番大切なのに。
こんなに大勢の前でストリップショーをしたら、これからどう生きていけるの?
夏目望美は笑い出した。「負けたら、賭けに従うだけよ!」
「本当に?」橘忻乃は続けた。「今日来ているのは皆友達なんだから、そこまでする必要ないでしょう。」
「証文にもう署名したんだから、蒼井さんが後悔したいなら、それも構わないわ。犬の鳴き真似でもすればいいんじゃない?」夏目望美は続けた。
橘忻乃は眉をひそめた。この夏目望美は、しつけが必要だ。
「華和?」橘忻乃は蒼井華和を心配そうに見た。
「大丈夫」蒼井華和は穏やかな口調で言った。「私は試合のルールを喜んで守ります。」