122:顔面蒼白、渣男を制裁!

突然の声に、その場にいた全員が一瞬固まった。

皆が入り口の方を振り向いた。

入ってきた人物は三十歳前後で、金髪碧眼、舞台に向かって歩いていた。

それを見て、客席からざわめきが起こった。

「あの人は誰?何をするつもり?」

「なんだか悪意を感じるんだけど」

「……」

夢野空はまず客席の方を向き、静かにするよう促してから、来訪者の方を向いて、上品な微笑みを浮かべながら尋ねた。「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

夢野空はいつもの高慢な態度を改めていた。

伴野智信は夢野空を見つめ、「俺様は名を変えず姓を改めず、伴野家の伴野智信だ」と言った。

伴野家。

伴野智信。

その名を聞いて、皆すぐに理解した。

名医白問は常々伴野家と親交があった。

白問と伴野智信の父である伴野岳志は忘年の交わりがあり、噂によると、伴野岳志は白問に智信を弟子にしてほしいと考えていたという。