最後の四文字が、地に響き渡った。
夢野空は気づかれないように眉をひそめた。
伴野智信はどうやって、鎮靜丸の製造者が別にいることを知ったのだろうか?
まさか......
何か聞いたのだろうか?
夢野空は微笑んで、「それなら、その人物が誰なのか聞いてみたいものですね」と言った。
蒼井華和だろうか?
それはありえない。
彼女でさえ研究に時間がかかるのに、獣医の弟子が鎮靜丸のような高度なものを作れるはずがない。
そう言って、夢野空は続けた。「別の人物がいるのなら、なぜその人は伴野若様と一緒に来なかったのでしょうか?」
明らかだった。
伴野智信は彼女を試していた。
しかし、彼女はそんなに簡単に騙されるような人間だろうか?
伴野智信が適当なことを言えば、すぐに信じるとでも?
まったくの妄想だ。
伴野智信は続けた。「夢野空さん、あなたがそれほど鎮靜丸は自分で作ったと確信しているなら、私の提案に応じていただけますか?」
「どのような提案ですか?」と夢野空は尋ねた。
「鎮靜丸の真贋を確認させていただきたい」ここで伴野智信は一歩前に出て、夢野空に近づいた。「いかがでしょうか?」
真贋の確認?
夢野空は黙った。
この質問には、答えづらかった。
もし伴野智信の提案を受け入れれば、必ず噂の種になるだろう。
後ろめたいことがないのなら、なぜ確認に応じる必要があるのか?
しかし、応じなければ、それもまた後ろめたさの表れだと言われるだろう。
鎮靜丸が本物なら、確認を恐れる必要などないはずだ。
進退両難だった。
夢野空はその質問に直接答えず、反問した。「伴野若様は薬王戦実行委員会を信用なさらないのですか?」
たった一言で、すべての問題を薬王戦実行委員会に投げかけた。
司会者がすぐに立ち上がって、「伴野若様、ご安心ください。我々薬王戦実行委員会の鑑定機器は、すべて名医白問先生にご承認いただいております」と言った。
名医白問は鎮靜丸の最初の発明者だ。
真贋を見分けられるのは彼女だけだった。
今、名医白問はここにいないが、検定機器はある。
「それは分かりませんね」伴野智信は続けた。「夢野空さん、鎮靜丸を作る際に、何か特別な印を付けましたか?」
「いいえ」夢野空は首を振った。