これは当然のことだ。
蒼井真緒以外に、拝金主義でない女の子なんていない。
それに、今夜ここで蒼井華和に会ったのも偶然ではないはずだ。
蒼井華和は他の場所から自分の予定を聞き出して、わざわざ来たのだろう。
これまでの人生で、須藤悠翔は多くの追っかけに遭遇してきた。
しかし、蒼井華和ほど執着する人は初めてだった。
蒼井華和の行動は恐ろしいとさえ感じる。
なぜなら、どこにいても。
必ず蒼井華和に出会うチャンスがあるからだ。
そう考えると、須藤悠翔は眉をしかめ、目には嫌悪の色が浮かんだ。
蒼井真緒は続けて言った:「お姉さまは私に何も言わなかったけど、私にはわかるの。お姉さまはあなたのことが好きなの。だから、私はお姉さまに私たちが一緒にいるところを見られたくないの。誤解されたら困るもの。私はお姉さまと争いたくないわ。それに、お姉さまが如月廷真のことを全く眼中に入れていないことも分かっているわ……」
「これは全部私の責任よ。あの時、私が直接如月廷真にはっきり言うべきだった。お姉さまを巻き込むべきじゃなかった。でも、あの時はお姉さまが自ら進んで如月廷真と結婚すると言い出したの。お姉さまが突然気持ちを変えるなんて思わなかったし、事態がこんなことになるなんて予想もしていなかった。」
「これは全部私の責任よ。私がお姉さまを台無しにしてしまった。」
最後に、蒼井真緒は涙を流して悔しそうにした。
彼女は上手く自分を無実な白百合に仕立て上げ、これら全ては蒼井華和が自業自得であり、自分とは何の関係もないと印象付けた。
さらには蒼井華和が須藤悠翔を好きだという嘘まで口にした。
しかも。
須藤悠翔はそれを深く信じ込んでしまった。
これを見て、須藤悠翔は心を痛め、蒼井真緒を優しく抱きしめながら慰めた:「真緒、これは全然君のせいじゃない。蒼井華和が分不相応な望みを持っているだけだ。」
蒼井真緒は須藤悠翔の胸に頭を寄せながら、口元に毒々しい笑みを浮かべた。
蒼井華和が私と争うつもり?
とんでもない妄想!