「なぜ?」林凛夜が尋ねた。
須藤悠翔は言った。「国内の有名なハッカーの中に女性はいない。」
国内だけではない。
海外でも、女性ハッカーはほとんどいない。
だから、須藤氏の危機を解決した達人が男か女かは、一目瞭然だった。
林凛夜は鼻を触りながら、「それは分からないよ。今は凄腕の女性も多いし。」
「例外的な事例だ。」
須藤悠翔は性差別をする人間ではなく、ただ事実に基づいて話をしていた。
林凛夜は続けた。「もし彼女が女性だったら、見逃すことになるんじゃない?」
須藤悠翔は眉を少し上げて、「万分の一の可能性が起こると思うか?」
その確率は億万長者になるようなものだ。
ほぼ不可能だ。
林凛夜は笑って言った。「それはそうだね。」
「社長。」
その時、アシスタントが口を開いた。
「どうした?」須藤悠翔はアシスタントを見た。